日仏比較)ハンカチ・ティッシュ

Bonjour, 

今日のストラスブールは曇り空で今にも雨がふりそうです。



今日は普段ストラスブールでフランス人とともに生活していて、どうも彼らは私とは違ったハンカチ・ティッシュ観を持っているな、ということに気付いたので、この両者が日仏でどう捉えられているのか、考えてみようと思います。


まずは、日本におけるハンカチとティッシュの立ち位置について。

日本においては、ハンカチとティッシュは”ワンセット”と捉えられていると思います。

よく思い出すのが、小学生のときの持ち物検査。チェック項目に「ハンカチ・ティッシュを持ってきているか」というのがあり、私は毎回どちらかを忘れていました。

親からも、出かけるときはハンカチ・ティッシュを持ったか確認しなさいよ、とよく言われた気がします。たいてい「持ったよー」と適当な返事をして、外出先で忘れたことに気が付くのですが。


女子力高めな、いやちゃんとした女性であれば、外出時のバックに清潔な(そして可愛い)ハンカチ、そしてティッシュ(よく出来た人は可愛いティッシュケースに入れる)を忘れずに動員させますよね。私も高校生のときに街のデパートでブランドロゴがあしらわれたハンカチを買ったものです。しかし、フランスではあの手のハンカチは見たことがない。


ハンカチの使い方は、お手洗い時に手をふく、涙をふく(めったにない機会ですが、いざ涙が垂れてきたときに何もふくものを持っていないのは恥ずかしい、、気がする)、外食するときにお膝に置いて汚れ対策(かなり女子力高い)、汗をふくなどが考えられます。

ティッシュの使い方は、鼻水をふく、汗をふく、ご飯を食べたときの口周りの汚れを取る、トイレにティッシュペーパーがないときに代用する(最重要)、考えるとまだまだ挙げられそうですが、主たる目的は「汚れをとる」ということではないでしょうか。

鼻水がひどいのにティッシュを忘れ、友達にティッシュをもらったときの何ともいえない恥ずかしさを覚えています。

まとめてみると、ハンカチは「汗や水を拭く」、ティッシュは「鼻水など(ハンカチでは扱いきれないより汚いもの)を拭く」という用途分けができそうです。


あるハンカチ屋さんのブログによると

「明治時代以降に洋装が導入されてから一部の日本人がハンカチを使いはじめますが、まだまだ高級品でとても庶民には手の届かないものでした。

その後大正・昭和の時代に入ってからは徐々に大衆へと広がっていきました。

もともと日本人には、一枚の布で手を拭いたり汗を拭ったり頭に巻いたりという手拭いの文化があったので、ハンカチは日本人の文化へ自然と溶け込んでいきました。」

のだそうです。さらに

「欧米諸国ではあまり見ることのなかったハンカチのライセンスブームが1970年代からはじまり、日本におけるハンカチ市場は一気に広がりを見せました。

これはハンカチを「鼻をかむモノ」としてとらえる欧米人と「手や汗を拭くモノ」としてとらえた日本人との感覚差が産んだ賜物ではないかと感じます。

1990年代半ばからタオルハンカチブームが台頭しており、昨今ではハンカチ市場の約半分を占めるようになりました。

吸水性とアイロン掛け不要という利便性を兼ね揃えた、これまた日本独自の文化ではないでしょうか。」

おお!疑問が解決しました。あのタオルハンカチというのは日本独自の文化なのですね。




それに対して、フランスではどうでしょうか?


まず、言葉自体について。

フランス語ではハンカチはmouchoir (ムショワール)と言います。この言葉は「鼻をかむ」という動詞moucher(ムシェ)から生まれています。

そしてティッシュはmouchoir de papier(ムショワール ドゥ パピエール)、直訳すると「紙でできたハンカチ」ということになります。

つまり、ハンカチは鼻をかむためのもの、そしてそれが紙製になったのがティッシュということなんですね。

ちなみに日本の厚地のタオルハンカチはmouchoir-éponge(タオル地のハンカチ)と言うそう。


この語源を証明するかのように、彼のお父さんがハンカチでちーんと鼻をかんでそれをまたポケットにしまう、という光景を私は何度も目撃しています。しかし、アントニー曰く今時そんなことをするのは年配の人だけ、とのこと。


私はそれ以外でフランス人がハンカチを使っているところを見たことがありません。ハンカチの最大の見せ場と思われるトイレにおいてもです。

なぜなら、フランスのトイレには乾燥機が必ずといっていいほど設置されているから。そして先程説明したように、欧米においてはハンカチで「拭く」という行為があまり定着していなかったからかもしれません。

あら~、ハイテクなさすがおフランスと思うかもしれませんが、この乾燥機にもいくつかの問題が。


1)場所によっては、壊れている、あるいは風力がとても弱いことがある。

 

これは私の大学のトイレでよくあることです。怖ろしいことに2台設置してあって両方とも動かないということもあります。この状況に出くわした場合は、何くわぬ顔で濡れた手で髪を整えるフリをして、少しでも水分を拭き取るしかありません。


あるいは、風力がすごく弱い。これは見た目が古いに乾燥機によくある。この風力で乾かすには最低でも5分は必要だろう・・・、さらにここには1台しか乾燥機がなく、私が5分も使えば、次の人を待たせることになる・・・。どうすれば・・・。ここにものすごい矛盾を感じて、もどかしい気持ちになります。

明らかにまだ濡れた手のまま、外に出るためにドアノブに触るときの敗北感。なぜ、自分はハンカチを持ってこなかったんだ・・。


2)というか、そもそも乾かすのに時間がかかる。

ネットで調べてみたところ、乾燥機で手を乾かすのに平均で50秒かかるみたいです。ほぼ1分・・・。しかし、ストラスブールでのざっと見ですが、乾燥機にそこまで時間をかけている人は見たことがない。恐らく多くの人は風があたって、半分ほど乾けばいいと思っているんじゃなかろうか。


つまり、乾燥機としての役割を果たしていない!!


この乾燥機問題に対する解決策は、1)後ろの人なんて気にせず、手が完全に乾くまで乾燥機の前に陣取る度胸を身につける 2)ハンカチを持ち歩く のどちらかですね。

ご旅行でフランスなどに来られる方は、やっぱりハンカチ・ティッシュを常備した方が良さそうです。


ちなみに、ダイソンの乾燥機は見た目がハイテクすぎてどこから風が出て来るのか分からず、一瞬まごつきます。BNU(国立大学図書館)のトイレの乾燥機は全てダイソン製ですので、ストラスブールを訪れた際には体験してみてください。



ちなみにフランストイレあるあるをもう一つ。

拭こうと思ったときには「トイレットペーパーがない」 です。

フランスの(商業施設内を含む)公衆トイレに備え付けられているトイレットペーパーは壁に備え付けられたとても頑丈そうな箱にすっぽり包まれており、利用者が勝手に取り出す・交換するといった行為は不可能です。そもそも換えのトイレットペーパーなんて置いてありません。

この状況を上手く乗り越えるためにもティッシュは不可欠です。度胸のある人は隣の個室をノックしてティッシュペーパーを分けてもらうお願いをすることも可能です。



現在、「鼻をかむ」以外にハンカチの仕事はなく、その仕事さえティッシュに乗っ取られたハンカチは今、フランスにおいて風前の灯火です。ただし、調べてみるとハンカチにも長い歴史があるようでwikipediaフランス語版で丁寧に説明されています。


では、フランスのティッシュを見てみましょう。


まずはその厚さ。しっかりした生地で紙ナプキンといった感じ。花粉症で鼻を頻繁にかむ時期には、鼻にこすれて痛くなります。日本のしっとりしたティッシュペーパーが恋しくなります。

さらに、大きさも若干大きく、一回鼻をかんだだけでは全面を使いきれません。ここがまた悩ましいところです。衛生面を考えると一回使って捨てるのが良いのだと思いますが、まだ場所が余ってるのに捨てるのはもったいない、と私は少なくとも2回使います。

アントニーは1回使ったら捨てる派だそうですが、彼は1日2回(本来もっと重要な案件のために動員されるべきである厚さのしっかりした)キッチンペーパーで鼻をかむ男ですから、やはり私とはティッシュの価値観が合わないと感じています。

さらに、ひとつのポケットティッシュに多くて5枚くらいしか入っていないのです。もうこれは何度も繰り返し使え!と言っているようなものですよね。

日本のティッシュペーパー企業はヨーロッパには進出しないのでしょうか。絶対、売れると思うですが。


こうしてみると、フランスでフランス人として生きるのであれば、ティッシュだけあれば大丈夫そうです。ただ、きれいなハンカチを持つ文化はそれはそれで美しいなとも思います。


以上、フランスと日本のハンカチ・ティッシュの違いを見てみました。ストラスブールで普段生活していて、なんか「へんなのー」と思うことを調べてみたら、意外に両国の面白い一面を知ることができました。


参考文献:ここちいい、暮らしのハンカチ屋さん。http://www.tnishio.co.jp/blog/?p=149

フランス語版wikipedia https://fr.wikipedia.org/wiki/Mouchoir


良ければ、押して見てください。

Deep@Stras

大聖堂で有名なフランスの東のはじっこ、ストラスブールで暮らす兼業フリーランサーのブログ。日々の暮らしのこと、フランス生活で役立つことなどを発信していきます。

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