フランスNo.1のバゲットはDurrenbergerで!

Bonjour, こんにちはMakiです。

成澤芽衣さんのインタビュー記事に続き、彼女が働くDurrenbergerについてもみなさんとシェアしたいと思います。

(壁画がとても美しい店構え。この壁画を手掛けたEdgar MAHLER氏はストラスブールの有名なパティスリーChristianの壁画も手がけています。)


ストラスブールから40kmほど北にいったところにある村Mertzwillerにこのパン屋さんはあります。電車でストラスブールからアグノーまで30分、そこからバスで20分ほどで着きます。パン屋さんは、バス停Mertzwiller/ Monument-mortからすぐ近く、歩いて2,3分ほどです。運がいいと、販売のお手伝いをしている芽衣さんに会えることも!


お店には、バゲットを始めとするフランスの伝統的なパンから、エクレアやタルトなどのケーキ類、また軽食のサラダ、タルト・フランベなども。また、デザインの凝ったケーキなどもあり、とても規模の大きいパン屋さんです。


斜めに5つの溝の入った一般的なバゲットは1€、まっすぐに一本の溝が入ったバゲット・トラディションは1.10€。バゲット・トラディションはより質のいい小麦粉を使っているので、お値段が少し高くなります。芽衣さんのフランスNo.1バゲットを求めたい場合は、完全に同じ味ではないですがバゲット・トラディションがより近いです。あるいは2種類買って、味比べなんていうのも楽しいかもしれません。


私もお店側のご厚意で両方のバゲットをいただき、さっそくアントニー一家といただきました。かなり食にはうるさい彼らが「うーん、おいしい!」と大満足!もちろん私も、外皮のパリッとした食感と、内側のもちもちとした食感のハーモニーに、非常に幸せな気持ちになりました。アントニーさんは、チーズをのせて食べた後に、はちみつを付けてまた食べていましたからね。


―Durrenbergerの歴史

私には発音が難しいデュランベルジェは、このパン屋さんの名前であるとともに、このお店を家族経営するDurrenberger家のことでもあります。

(店舗の移り変わり)


現在のオーナーが5代目という歴史のあるパン屋さん。


1882年(日本では上野動物園が開園した年)に、1代目Joseph Durrenberger氏が開業します。彼はパン作りと並行して酪農・農業も行っており、パン作りの原料全てを自ら賄っていたそうです。当時は普通のことだったのかもしれませんが、現代では、粉から自家製で作っているパン屋さんなんてあるのでしょうか?


1928年の彼の死後はLucien氏, Ernest氏と代々引き継がれていきます。アルザス地方の有名なスフレンハイムの陶器や食料品を馬車に乗せて、パンとともに販売していました。


パンを移動しながら売っていたんですね。日本でいう昔のお豆腐屋さんみたいな感じでしょうか。知らなかった!オーナーにさらにお話を伺うと、当時(今もですけど)馬を所有しているというのは裕福な証であり、パンを作り販売するだけにとどまらない、村の銀行のような役割も果たしていたそうです。戦時中は、村人たちは代金の代わりに小麦粉や自産の農作物で支払いをしていました。


(Laurent氏の祖父Ernest氏。馬に乗って、パン屋さんの前で)


1984年4代目Jean Luc Durrenberger氏の代になり、新しい商品、アルザスの果物を使ったタルトや様々なパンを開発していきます。


そして、現在5代目Laurent Durrenberger氏は、大きな夢にむかって突き進んでいます。お店を街のメインストリートに移動させ、お店にサロン・ド・テ(喫茶店のようなスペース)を設け、アルザス名物のタルト・フランベのレストランも併設させました。

確かに、店内はとても広く清潔。ショーケースも大きく、たくさんの種類のパンやケーキが並んでいます。そして、店員さんたちがとても親切で感じが良い(←これは重要ですね)


―日本人との出会い

現在、Durrenbergerでは芽衣さんを含めて3人の日本人の方が働いています。そもそものきっかけは何だったのでしょうか?


現在のオーナーLaurent氏はこのパン屋さんを日本に進出させたいという思いがあり、そのつながりでパティシエの翠さんと出会いました。そして翠さんがここで働き始めたのが4年ほど前。そこから、翠さん伝いにアルザスの伝統的なパンやパティスリーを学びたい日本人にやって来るようになりました。去年、このお店で働かれていたパン職人、宮島順子さんも全国バゲット・トラディションコンクールに出場され見事に2位の成績をおさめています。

(お店の側壁面に描かれたお店のモットー。正面に大きく載せないところがニクイ。)


オーナーのLaurent氏は、お店のモットーとして

「Respect : 敬意 Engagement :献身的な姿勢 Loyauté : 誠実さ Honnêteté : 正直さ」

を掲げているのですが、これら4つを体現しているのがまさに、日本人の仕事に対する姿勢だと気付き、大きな感銘を受けたそうです。真面目に、丁寧に取り組む日本人の方々の態度が大きく評価されているのですね。


―美味しくて、身体にいいものを

オーナーのLaurent氏曰く、フランス人のパン消費量は一時期に比べると、半減しているそうです。食の国際化が進み、日本人の米離れが叫ばれるように、フランス人もパン以外のものを選ぶようになっているのかもしれません。


また、現在は大きなスーパーが店内にパン工房を併設しパンをその場で製造し、一般的なパン屋さんに比べて半分ほどの値段でバゲットを売ることに成功しています。これは原料となる小麦粉などを、外国から大量に買うことで材料にかかるコストを抑えることでなせること。とても、小さな個人経営のお店ではできません、とオーナー。しかし、値段が安い分、身体に不必要な化学製品が含まれているのも事実。


「確かに現代のフランス人は、美味しさよりも安さを重要視する傾向があるかもしれません。しかし、250gで1€のバゲットは決して高いとは言えません。身体に良い材料と使い、職人の手によって丁寧に作られているのですから。」とオーナー。フランス産の小麦粉を使い、完全に機械に頼るのではなく手でこねる、一つ一つの工程に職人の注意と愛情が込められたDurrenbergerのパンは、地元の人びとにずっと愛され続けています。

(もう一度、御三方。左からパティシエの翠さん、ブーランジェの芽衣さん、オーナーのLaurentさん)


アルザスを訪れた際は、ぜひフランスNo.1のバゲットを食べに、Durrnbergerに行ってみて下さい。美味しく食べごたえのあるパンたちと、パンの未来をかけて走り続けるオーナーとそこで働くプロフェッショナルな日本人の方々が皆さんをお待ちしているはずです。


もう一度 Durrenberger情報

住所:3 rue de la liberté 67580 Mertzwiller

電話:03 88 90 39 27

時間:月―金 4時半―19時 土 5時―17時 日 7時―12時

Facebook : https://www.facebook.com/boulangeriedurrenberger

facebook上で、フランス語ですが芽衣さんのバゲット練習風景、コンクール当日の様子などがアップされています。オーナーによる芽衣さんへのインタビュー動画もあり、コンクールにかける熱意が伝わってきます!


電車で行かれる際は、SNCFのサイトで時刻などをよく確認してお出かけ下さい!

Deep@Stras

大聖堂で有名なフランスの東のはじっこ、ストラスブールで暮らす兼業フリーランサーのブログ。日々の暮らしのこと、フランス生活で役立つことなどを発信していきます。

0コメント

  • 1000 / 1000