フランスのお医者さん
こんにちは、お久しぶりです。
ストラスブールに来て通算2年がたち、3年目に突入するわけですが、その間には
お医者さんに診てもらうことが何度かありました。
そのあれこれを交換留学の頃を含めて、お話しようと思います。
まず、交換留学の1年間。ストラスブール大学に登録するときに
Séculité socialeの一番ベーシックな保険に加入義務があり、213€払って加入。
医者にかかることなんてないべーと思っていたら、その時は突然来ました。
モロッコ旅行から帰ってきた次の日から、お腹の調子が悪くなり、3日間ほどトイレにこもり続けました。
そのときまでフランスの医者にかかったことがなかったので、フランス人の友達に「私はどこに行けばいいの・・・」と助けを求め、
そしたら大学寮のすぐ近くに一般医généralisteがいるということで、診てもらいました。どうやら、モロッコ滞在中の食事から、何かしらの菌をもらってきたらしく、処方された薬で私もお腹は落ち着いてくれたのでした。
2015年に大学院進学のためにストラスブールに戻ってきて今まで、
一般医、歯科医dentiste、皮膚科医dermatologie、産婦人科医gynécologueに診てもらいました。
保険に関しては、1年目は交換留学時同様、MGELでベーシックな保険に215€で加入。2年目はそれにPIANOというプランを加えました。月20€ほど払うことで、診療費などほぼ100%カバーしてくれます。ただし、歯科、眼科など、例外もあります。
一般医は前回とは別の、彼氏の家族のかかりつけ医を紹介してもらいました。診察の理由は、健康診断の書いてもらうため。
このお医者さんの診療所はなかなか衝撃的でした。
補足説明をすると、フランスの個人経営のお医者さんは分野をとわず、ほとんどがアパルトマンの一室を診療所として使っています。なので、同じ階の隣はふつうの住居です。
そうはいっても、大通りに面した大きなアパルトマンに入居していたり、入り口のすぐ脇の診療所の表札は金ピカのプレートでお医者さんの名前と担当分野が書いてあり、要予約と書いてあるのですが、電話番号は載せていなかったり。そう、敷居が高いイメージがありました。
しかし、今回のお医者さんはストラスブールの郊外、しかも若干治安が悪いという噂をきく地区にありました。ただし、とても人気らしく、朝早く行かないとものすごい待つよ、と言われたので朝8時頃には待機していられるように出発しました。
着いたのは、アパルトマンではなく、低所得者用のアパート。暗くて、ぼろい・・。
私がついた頃にはすでに何人かが入り口のあたりで、開くのを待っているのか、たむろしていました。
言われた部屋番号の前に行ってみるも、それらしい表札もない。でも、この部屋のまわりに人がいるってことは多分ここなんだろう・・・と信じ、ひたすら待ちます。
30分ほどたって、お医者さんらしき人がやって来て、アパートを開けてくれました。
待っていた皆さんどわーっとなだれ込む。
日本のように、受付で診察券を出すことも、予約を確認されることもなく、というかそもそも、受付に人がいなくて、不安になります。
ようやく名前が呼ばれ、診察室には入ります。 ・・・・暗い。狭い。
ドアを開けるとすぐに診察机があって、目の前にすぐ先生。
まずは笑顔で握手。
もってきた書類を見せて、事情を説明します。求められるのは単なる診察だけでなく、レントゲン検査、視力検査などかなり細かい。
先生「なるほどねー。で、具合どう?」
私「元気です。」
先生「OK!じゃあ、問題ないね!」
そういうと、項目をすべて埋めてしまったのです・・・適当だな。
さらに衝撃的だったのは、体重を測るとき。なぜか体重計は診察机の下に無造作に置かれており、先生はおもむろに懐中電灯を取り出しました。まさか、、と思いましたが、診察室が薄暗いので目盛りを読むために、まるで海の底に沈むお宝を見つけたときのように、懐中電灯の光の下、みんなで体重計をのぞきこんだのです。・・・いや、電気付けようよ。
健康診断は日本でやっておくべきだったと強く後悔しましたが、適当なお医者さんでよかったなとも思いました。
このお医者さんから、ピルをために産婦人科医を紹介してもらいました。
今回は、街の中心部の大通りに面した診療所。わりかし綺麗な室内で、クレーかだれかの展覧会ポスターがいたるところに飾ってありました。
わりかし衝撃的だったのは、診察台。診察室を本棚でふたつに区切って、片側に診察机、もう一方に診察台が置かれているのですが、日本のように医者と患者を仕切るカーテンなどはなく、診察台、どん。お医者さんをがっつり目の前に脚を広げるという、なかなか衝撃的な体験でした。
丁寧に説明をしてくれる優しいお医者さんでしたが、診察机にはものが乱雑に置かれており、処方箋を書いているときなどは、直線をかくために、定規ではなく、ペンを使っていました。・・・いや、定規使おうよ。
歯科医は、もともと彼氏の家族が通っていた歯医者さんを薦められ、最初はその方のところに通っていました。ものすごく優しいおじさんだったが、治療中の脇の匂いだけが。
しかし、その方が定年を迎えるということで、その方の引き継ぎで新しく来た女性の歯医者さんに、最近水が染みるようになった歯を診てもらうことに。どうやら、虫歯が深く進行しているようで、歯の神経をぬいて、セラミックの詰め物をすることになってしまったのです。
見積書を出してもらったら、けっこうなお値段。970€ほど。
今のMGELの保険だと230€ほどカバーで、残りは自己負担。
これは辛いなーということで、他の歯医者さんにも見積書を出してもらい、値段を比較することにしました。
最初に選んだのは近所の歯医者さん。女性の方で、助手の方も女性。同じ内容で見積もりを出してもらい、775€。200€以上安い!
これがふつうなのか拍子抜けした私は、もう一件試してみることに。
二件目は、街の超中心地にあり、商業施設も入ったアパルトマンの6階。
入るとすぐに大きな受付カウンターがあり、感じのよいお洒落なおばさんが対応してくれる。ここには、どうやら2つの診療所が併設されているよう。
入り口から、今まで見てきた診療所とは違う、高級な雰囲気をプンプン感じます。
待合スペースに移動すると、
・・・す、すごい。ブルドックを連れたお金持ちマダムが寛いでそうな、ダークトーンの落ち着いたインテリアで統一された、お洒落な空間。一瞬絨毯を踏むのを躊躇する。
ベロア素材の様々なタイプのソファが、雑誌が積み上げられた中央の小さなテーブルを囲んで配置されている。やべ・・どこ座ろう、と迷った挙句、一人がけ用の小さなソファに落ち着き、渡された質問表に目を通します。
単語が難しくて、ほとんど理解できず、まあ今日は見積もりのお願いだし、大丈夫だろうと、答えるのを諦めます。ここでもう一人、お客さんが待合いスペースにやってきました。
ども、と軽く挨拶。そう、フランスでは待合室で出会った人とは挨拶をするのです。別に歯医者に限らず、何科でも。確かに、無言で同じ空間にいるよりは、一言声をかけあって、これから数分間、同じ空間を共有しますよーとお互いに確認し合う方が精神的に良いことなのかもしれないですが、その後に会話が続くわけではないので、なんだか気まずい。
少し待つと、爽やかな(禿げてるけど)イケメンな歯医者さんが登場。30代後半だろうか。実は、この歯医者さんを選んだのは、偶然ではなく、友人の薦め。かなり腕のいい医者らしい。
さっそく、診療室に入る。
そうそう、フランスの歯医者さんの良い点は、診療室が必ず個室になっていること。診療台も1つしかないので、口をぐあーっと開けたおもしろい顔を他の人に見られずに済む。さらに、耳元から気楽な音楽がずっと流れており、いい気休めになる。
日本で通っていた矯正歯科のクリニックでは、2台の診察台が微妙な距離で並んでいました。
ある日の私は、矯正の進み具合を写真に収めるために口にねじこまれたプラスチックの口拡張器具をつけたまま、歯医者さんのカメラ準備をまちつつ、若干の放置プレイ。隣の診療台にいた(恐らく)小学生の男の子の熱い視線が忘れられません。こういうことにならないから、個室はいいですね。
事情を説明して、簡単に診察してもらい、見積書を出してもらうことに。
しかし、、前回の二件を大きく上回る1085€という数字を見積書にみた瞬間に、笑顔で挨拶をしつつ、二度来るまい・・・と誓ったのでした。
たった三件の歯医者を比較しただけでしたが、やはり街の中心部に位置している歯医者さんは治療費も高い、ということが分かりました。
なので、一番値段が安かった、近所の歯医者さんにお願いすることに。
クリスマス前には無事に、セラミックの新しい歯をゲットできました!
他に驚いたことは、歯医者さんは必ずしも助手と二人がかりで治療をするわけではないということ。最初の女性の歯医者さんは、助手が辞めてしまったの、と一人で治療してくれました。大丈夫なのかな・・・と不安になったのは、言うまでもありません。
しかし!!一人での治療の良い点は静か、ということ。
助手の方が加わるとお二人で、治療の真っ最中に(つまり、こっちが恐怖でおののいている真っ最中に)わりとふつうな日常会話を始めるので、びっくりします。「クリスマスの準備進んでるー?」とか。一瞬、あれ、これは私に話しかけている?と思い、「ふぁ」のような空返事をしてしまって恥ずかしい思いをすることもあります。
と、今まで私が個人的に体験してきたお医者さんのお話でした。
ちなみに、MGELにも歯の治療をカバーする特別なプランもあるみたいなので、歯が弱くて、留学中も歯医者さんに通うことになるかも、という自覚のある人はそのプランに入ることをお勧めします!
私もそうすれば良かったのですが、時すでに遅しでした。
では!
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