ストラスブールで宗教について考える。
Bonjour, こんにちは!
真冬が過ぎ去り、ストラスブールにも太陽が戻ってきました。
朝が朝らしくなってきて、嬉しいです。
久しぶりの更新になりますが、私は元気に生活しています。近況報告も近々したいと思います!
さて、今日のブログでは、「宗教」についてのストラスブールの2つの取り組みについて皆さんとシェアしたいと思います。
そもそも、皆さんにとって「宗教」ってどんな存在ですか?(決して怪しい勧誘ではありません。)
私は、何か特定の神の存在を信じているわけではない、フランス語でいるathée (無神論者)なのですが、決して神は存在しないと信じているわけでもない、つまり自分のものとしての宗教というものは真剣に考えたことがありません。
フランスにいると、たまに「日本人は何教なの?」と聞かれて、「代表的なのは、仏教、神道だけど、だからって毎週お寺に行くとか、修行に行くとか、そんなことはしなくて、もごもご、でもお葬式はその宗教に則ってやって、、、」となんとも煮え切らない返事しかできず。
ですが、好奇心から単純に宗教の歴史に興味がありました。特に宗教美術に。
人があるものを信じて、それが良くも悪くも力となり、権力となり、高度な技術による建造物やものを生み出す、あるいは悲しい事件を引き起こす。それって何なのだろうか。
フランスで、ゆっくりその答えを探っています。
さて、
1つは、calendrier des religions (多宗教カレンダー)について、です。
私はその存在を今まで知らなかったのですが、この取り組みは今年で7年目になるそうです。
「各宗教の特徴や価値観を、宗教をこえた対話や相互理解を通して保ち続けること」を目的にストラスブール市が発行するもので、市役所やメディアテークなどで無料で手に入れることができます。
カレンダーには、仏教、カトリック教、バハーイー教、ヒンドゥー教、イスラム教、ユダヤ教、東方正教会、プロテスタントの8つの宗教の重要な祭日の説明が書かれています。
ちなみに、下のリンクから2019年版をダウンロードすることができます。
表紙には、8つの宗教のシンボルが円を描くように並んでいます。
仏教のシンボルは「卍」なのかと思っていたら、船の舵のような「法輪」が仏教のシンボルになっていました。さらに仏教の行事を見てみても、分からないものばかり。
当たり前だけど、私が日本語で知っている仏教の行事だけが全てではないのだと、実感します。
フランスにいる分には、カトリックはもちろん、街ですれ違うユダヤ人から何となくユダヤ教について調べたり、ストラスブールでればプロテスタントの歴史も避けることはできません。ですが、それ以外の宗教については接することも考えてみたこともなかった、というのが本音です。
名前は知ってるけど、中身は知らない宗教について、知る良い機会になりますね。
さらに、ストラスブールは昨年12月に銃乱射事件に見舞われ、イスラム国の犯行声明が出ていました。この事件にどれだけイスラム国が影響しているのかは分かりませんし、私はむしろ彼の社会環境の方が強く影響していたのではと思います。
この悲しい事件を乗り越えて、異なる宗教で手を取り合っていこうとする、フランスの、ストラスブールの寛容さが感じられます。
2つ目は、3月28日から31日に開催される多宗教フォーラム「宗教って何の役に立つの?」です。以下のサイトから、プログラムを見ることができます。
4日間に渡って、宗教に関する様々なテーマで講演会、公開討論などが開かれます。
28日には、多宗教カレンダーに参加している8つの宗教の代表者が集い、公開談話が行われます。めったにない機会なのではないでしょうか!
個人的に気になるのは、29日10時からの、ストラスブール大学の宗教学教授 Jean-Marie Husserさんによる講演「Quel est le rôle des religions dans la construction des identités collectives?」(集団アイデンティティ形成における宗教の役割とは?)と
31日18時からの、公開討論「La laïcité, pourquoi est-il si difficile d’en parler?」(政教分離を語ることはなぜこんなにも難しいのか?)です。
どこまで理解できるか分からないですが、これらは私の時々感じるもやもやの答えを見つける鍵になるのではないかと思っています。
さらに、最終日には各宗教の代表施設を見学することもできるので、楽しみです。
ちなみに、こちらはフランスにおけるイスラム教の状況を理解するのに役立つ講演会です。ビデオで講演されている、森千香子さんの著書「排除と抵抗の郊外: フランス“移民”集住地域の形成と変容」も面白いので、読んでみてください。
参考サイト
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